輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

倉庫賃料は適正でないと、あとで高くつく

仕入で最も注意すべき点は数量であろう。これは一仕入の問題だけではなく、営業、経理(資金繰り)が絡んでくる。在庫を絶えず切らすと顧客が取引を中止するかも知れないし、多すぎると不良在庫発生の原因にもなる。資金も余計に調達しなければならない。

営業部門と綿密に話し合い、在庫量を調整する必要がある。また同一種類の商品でも年式が違うと不良化する可能性が大であるから、新しいモデルを発売する前に旧在庫を原価ででも売らなければならないこともあるだろう。

そういう意味では仕入は営業部門で行うのが良いかも知れない。しかし買うための交渉と売るための手法には大きな違いがあるので、大きな会社では部門は別になっている。

国内仕入の場合は会社の力で返品、交換などを要求することも可能な場合があるが、これは仕入先をいじめることになるので、勧められない。やはり自社の販売見通しを綿密に立てて、仕入量や種類を調整することを前提にしなければならない。

業界中を探せば旧モデルや過剰在庫を一括買ってくれる会社が必ずある。こういう顧客をできるだけ多く持っていると在庫の調整が比較的簡単である。旧モデルと言っても新モデルと変わらないことも多い。但し原価で売れば利益が出ないからこれは利益計算外として処理する必要がある。

例えばマイクロソフトのエクセルなどソフトは絶えず変わっているが新しいソフトが必ずしも優秀であるとは限らない。だから旧モデルでも使うのに支障がない場合は需要も小さくはない。

倉庫と契約をして在庫をそこで保管してもらう必要が生じる。

今はロジスティックと称して、保管だけではなく、出荷作業、納品書の作成など商品の保管、出荷に関する全てのことをやってくれる。

現在東京に事務所のある会社は群馬県や東京以外の関東エリアに倉庫を持つ会社が多い。比較的賃料が安いからであるが、連絡の方法をきっちり確認しておかなければ、打合せのために何度も遠方に足を運ばなければならないことになる。

運送賃はトラックの運転手の確保が厳しくなって、年々高くなってきた。

小口の量であれば顧客が運賃を負担してくれるが、ある程度の量以上では運賃がこちら持ちのケースが多い。運賃はそういう意味では利益を圧迫する要素になりつつある。

何の取り決めもなければ商品を顧客の手許に届けるというのが、法律の規定になっているので、運賃は当然出荷者が負担しなければならない。しかしここでも会社の力関係で別途の取り決めをすることはよくあることだ。

どんな商品を仕入れるにも条件交渉は付き物だ。

ためしに仕入価格を値切る交渉をしてみた。結果は全てのケースで値引きが実現できた。これは相手先(売り手)が最初の提示価格を自分たちが売りたい価格より高く設定してあることを意味する。

こんなことは姑息であるが、それが相手の営業手段であるならやむを得ない。値切り交渉は行わなければならないのだろう。但し気を付けなければならないのは反対のケースで、あまり価格が低いと後で大幅な値上げを要求されることがある。

倉庫が空いている場合、少しでもその空スペースを埋めないと採算性が悪くなるので、大丈夫か思うほど賃料が安い。しかし契約してから1,2年経つと大幅な値上げを要求してくる。賃料が安過ぎるので、これではやっていけませんというわけだ。

こうなると違う倉庫を探すことになる。

倉庫はどこにでもあるが、移転費も掛かるし、慣れた倉庫とは違い発送上のトラブルも発生する可能性も高い。だから仕方なくその高い賃料を支払うことになる。それでは利益計算も狂ってしまうので、賃料にしてもやはり適正であることが望ましい。

有形無形に関わらず何かを仕入れる場合も相手の経営状態を良く調査する必要がある。ある倉庫に在庫を保管してもらっていた時、月末で締めて翌月末の支払いということで契約したが、請求書が届くとすぐに支払いをしてくれと頼んでくる。

手形での支払いであれば手形を規定より早く渡すだけだから、実質的な支障はないのだが、これが現金払いだとこちらの資金繰りにも影響が出て来る。

我が社は手形を発行していないので、こんな要求をされると困る。そこで相手の話しを良く聞いてみた。曰く「支払ってくれなければ手形を落とせない。どうしてくれますか」というわけだ。

それはそっちの責任で処理して欲しいと頼みたいところだが、相手が倒産されると面倒なことになる。債権者がこちらの在庫を取っていく危険性もある。仕方なく取引を継続した。そして毎月こんな状態が続いた。