輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

人事における、正社員採用のコツ

採用の基準は能力より人柄である。目端が利くとか知識が多いなどは何の能力でもない。営業マンにはその人に会った顧客が付くし、時間を掛けて作った顧客は長く取引を継続してくれるものだ。

我田引水、怠惰、狡い、そんな好ましくない人は能力がありそうでも採用してはならない。トップの経営者より仕事ができる人も駄目だ。社長は劣等感をどこかに持ってしまうし、採用された人は会社に嫌気が射してしまい独立の道を歩くだろう。

だから会社の規模は社長の大きさ、能力の高さしか大きくならない。だから能力の高すぎる人は従業員ではなく、アウトソーシングとして関わってもらう方が良いかもしれない。

なお長く会社を経営しているとどうしても会社に取って拙い人が入り込んでしまう。獅子身中の虫と言おうか、会社に結果として悪影響を及ぼす人だ。

労働組合を結成する。ボーナスが低いとサボタージュの先頭に立って行動をする。女子社員と不倫関係になる。あるいは会社の資産を盗む。いろいろなケースがあるが、その人たちは一応に能力があるが、人格の伴っていない人だ。そんな人は会社の利益を度外視してできるだけ速やかに辞めてもらわなければならない。

人柄というのは就職する段階ではもう不変のものに近い。それは会社にいる間変わらないので、例えば経費の水増し請求をする人はそれを注意してもいずれまたやり、それを繰り返す。しかし逆にそんな小さな悪も実行しない人は一切そんなことには手を染めない。

経費の精算について、上長はチェックをするが、水増し請求しない人に関しては自動的に金額を了承すれば良い。チェックをしなければならないのは、危険な人物のものだけだ。時間は有効に使わなければならない。

小さな不正も度重なると何かに付けて信用できないもので、いずれもう少し大きな悪をしないとも限らない。

ただ営業マンなど会社の金で飲食をする人も多い。考えてみると会社の人同士会議をしているとも言えるので、あまり厳密に規制しない方が良い場合も多い。

大企業出身者を雇うのはどうか

前にも記したが、大企業は効率を考えて仕事のルールや遂行のやり方などをできるだけ、厳密に規定してある。従業員はそのルールに則って仕事をするし、名のある会社という背景がある。ある意味仕事が簡単だ。中小企業ではそんなルールは確率していないのが、通常で、従って従業員が仕事の現場でルール自体を作らなければならないことが多い。

だから大企業と中小企業では仕事の対する考え方、やり方が全く違う。中小企業では大企業からの転職者は採用しない方が無難だ。銀行の支店長を経理部長として採用して失敗したケースを何度か見た。

がりがりの受験勉強をした人はどうか

自分に取って超難関の入学試験に合格するには、全てを投げ打ち、記憶に邁進しなければならない。そんな人は物を考えないで、記憶や経験に全て頼るような頭脳構成になってしまう。しかし人と人が相対する現場ではどんな未経験が待ち構えているか分からない。

そんな時には思考を働かせ、あるいは臨機応変に対応しなければならないのが会社での仕事である。記憶や経験に頼る仕事のやり方は中小企業では適合しない。ルールが厳密に構築されている大会社で働くべきだ。

なおコンピューターを使うのはそんな人は得意だろう。何故ならコンピューターの使用法は厳密に設定されていて、その設定されたやり方に完全に従わなければコンピューターは作動しない。

だがコンピューターによって仕事をするには限度がある。自身でプログラムを組むことができれば良いのだが、彼らにはそんなことはできない。プログラマーにはなれるだろうが、プログラムをする前には企画が必要だ。その企画ができない。

経験など一年もすれば身に付く。だから同業のあるいは似た事業をやっている会社の出身者を採用するよう試みるのはあまり意味がない。要は思考能力を持っている人を採用すべきなのだ。

教育はどうするか

会社で仕事をするための技術を教育するのは簡単だ。だがこれは教育ではなく、講習という性格を持つ。英語、コンピューターの操作法、販売している機械に関する使用法、特徴、会社で守るべきルール、通関、監督官庁への届け出、などはある程度の講習をやれば自然に修得するものだ。

真剣に教育すべきは仕事というものはどうあるべきか、近い未来、客の隠された要望、そんな無形とも言うべき事項に関して考えを巡らせる思考技術である。思考は記憶と違って脳の複雑な使用法がないと身に付かない。長く会社で仕事をしてくれる従業員に対しては絶えず考える訓練、そういう習慣を身に付ける教育をしなければならない。

もちろん経営者も同様で教育してくれる人がいなければ努力して思考という癖を付ける必要がある。

人とは何であるか。金とはあるいは仕事の順序は。そんなことは記憶から出てくるものではない。そんなことを絶えず考えて、考えの結果を実行できる人は大きな間違いを犯さないし、自然に仕事が完了しているものだ。

給料、ボーナスはどうするか

会社の経営者が一番頭を悩ませるのがこのことだ。できるだけ沢山給料を支払えば良いかと言うとそうでもない。会社という活躍の舞台があって従業員は仕事ができるのだ。それを忘れ営業成績が良いとそれを過度に訴え、できるだけ高い給料を要求する人がいる。

会社にもっと高い給料を支払える能力があったとしても、そんな人の要求を受け入れてはならない。増長万になるのがおちだ。適正な給料より少し高いくらいが理想的なのではないか。

だが従業員の収入は家庭やその人自身の生活を支える土台である。例えば従業員の家族が病気になった。あるいは思わぬ出費が嵩んで収支のバランスが取れなくなった。などなど従業員にも思わぬ事態の発生が考えられる。その時会社は何等かの手段でその従業員を助ける努力をすべきではないか。それが会社の思い遣りというものだと思う。

ボーナスの時期は早い方が良い。どうしても自分の友達ともうボーナスが出たかどうかを話し合うことがある。友達に会社ではもう出たのにかなり遅れて自分がもらうとどうしても感情が泡立つ。

一度早くボーナスを支給できると次はその6か月後である。だから早くても会社の資金繰りが悪化することはない。

会社は厳格であるべきだが、ゆとりもなければならない。そこの緩急が難しい。従業員を愛し、厳しく教育するのは自分の子供を育てるのとよく似ている。