輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

賞与引当金

賞与は一般的に年に1度か2度だけ支払う給与と同等の従業員に対する報酬である。なかなか良い制度で会社が利益を出すと、支払うし利益を出さないと支払わないケースが多い。

もちろん賞与を支給しないと従業員には不満が噴出するが、会社の状態により従業員に対する給与の額はここで調整することができる便利な制度である。

だが利益の多い会社ではボーナスの額は給与額より多い。だからその月の利益がその分極端に少なくなる。だから資金繰りとも関係してくるので引当金という私設と言うべき勘定科目を立てて処理することも多い。

1年に一度だとボーナス額/12、1年に二度支払うと額/6として月毎の利益が歪にならないように調整する。

この引当金はどんなことにも使える。ある月だけ出費が突出して多い場合例えば展示会の出店に関する費用などは賞与引当金のような案分処理を行うと各月の実体がより明らかになる。

 
法定福利費

法定とは法で定められたということで、一定の規模、種類の会社はこの福利費の支払いを免れることはできない。この福利費は政府が管掌する保険の支払いのことで

健康保険
厚生年金保険
雇用保険
労災保険
介護保険(40歳以上)
である。

ただし雇用保険に関しては雇用という名でも判断できるように雇用されている従業員に対するものであるから、会社の経営者、すなわち、取締役として登記されている人は加入できない。

合計の支払い金額の率は(給料+ボーナス)の30%ほどで、会社と従業員がそれぞれ半額ずつ負担する。すなわち会社は従業員に対して給与を支払うだけでなくこれら法定福利費や後で出て来る福利厚生費も支出するのである。

従業員のこのような制度は本来会社の責任ではなく、政府の仕事である。それにも関わらず、その処理を会社に押し付け、半額を会社に負担させる。日本政府は怠慢で狡いと言われても仕方がない。

仕事があるからと従業員を考えもなく、採用すると会社はそれなりの経費支払いを見込まなくてはならない。次の式を参照するとどのくらい会社が経費を負担しているかが分かる。

従業員に掛かる支払い=給与+ボーナス+法定福利費+福利厚生費+経費(交通費や接待費など)。

なお法定福利費の支払いや資格、年齢などは社会保険労務士と契約して計算してもらい、相談をするのが費用の面から考えても効率的である。規模が大きい会社ではその計算を行う係を置いた方が安上がりの場合もあるので、その辺りを勘案して決定する。 

旅費交通費

交通費は会社の仕事に関わることで電車、バス、飛行機、タクシーなどを利用する料金で、基本的には宿泊を伴わない経費と考えれば良い。

旅費は出張する際に支給する交通費、宿泊代、日当で構成される。

これに関しては前以て旅費規定を設けておくのが良い。そうすれば宿泊代と日当に付いては領収書が必要なく、従業員が規定より少ない額しか支出しなくても規定額を会社は税務上の問題もなく支払うことができる。

例えば東京から大阪に出張する時で、大阪にある親戚の家に宿泊させてもらっても規定の宿泊費を会社は支払い、出張者はそれを入手できる。

日当の意味は不明であるが、自宅にいるよりも食費やその他の経費が余計に掛かるので、それを会社が負担するという考え方から来たとも思える。また結婚している人であれば妻や夫と離れて暮らすことに対する保障というような意味もあるかも知れない。

社長に対する旅費、宿泊費、日当がかなり高く設定してあるケースもある。出張が多い会社ではこれは実質社長に対する報酬の意味が含まれているが、ある程度であれば税務上問題視されない。

旅費交通費は従業員の誤魔化しが多い科目である。タクシーに乗っていないのに、乗ったと称してタクシー代を請求したり、歩いたのに地下鉄代を請求したりするケースが多い。

サラリーマン時代にそのような場面によく遭遇したが、同僚としてそんな社員は信用できないと思った。会社の給与やボーナスが少ないとこんな事例が多くなる。会社の存在価値は利益をある程度上げ、従業員に不自由のない収入を得させることだ。そうでないと会社の業績はますます悪くなり、ブラック企業化する。

交通費に対する領収書をもらい忘れたり、電車地下鉄などは依頼しないと領収書を発行しない。そんな場合は従業員に領収書や出金伝票を発行してもらえば良い。

常時近場に営業に出かける営業マンには自動車を貸与し、全経費を交通費として処理しても良いだろう。中には自動車費として別科目を設定して処理する会社もある。