輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

通信費

謂わずと知れた電話代、切手など顧客、仕入先などと通信を行うための費用に当たる。

 昔と比べ格段に費用が掛からなくなったのが、電話代だ。昔は東京大阪間で少し長く話すとすぐに10000万円くらいになったが、今では携帯電話の固定料金制を契約するとスマホでも3,4000円で一ヶ月話し放題である。

従業員には会社から携帯電話を貸与するのが良いだろう。会社にいても固定電話を使わず、携帯電話を使用させれば大きな経費節減になる。

従業員の携帯電話を利用する場合は私用と会社用の区別がつきにくいので、料金は半分ずつ折半する方法を取る会社が多い。

しかしその従業員が会社を退職する場合、情報は全て持ち去られてしまうので、あまり勧められない。だがいずれにしても従業員が他社に転職する時は会社の情報が漏洩してしまうので、会社はこの点の処理に気を付けなければならない。

従業員は実質いつでも退職できるので、従業員がもつ会社の情報は漏洩するものと覚悟しなければならない。しかし不正を働く従業員を馘首する場合などは、馘首を通告すると同時に携帯電話を取り挙げコンピューターに近づくことは禁止するようにしたい。切手に付いては額面より安く売るチケット屋があるので、多少は安い。

賃借料

ビルの一室あるいは数室を賃貸する賃借料である。分かり難い所や駅から遠過ぎる場所では取引先が困るし、逆に駅から近く大通りに面したところは賃料が高すぎる。どういう場所を選ぶかは経営者が判断するが、銀行や、弁護士事務所、会計士事務所など不必要に良い場所や大きいスペースを賃借する場合は単純に賃借料として処理するのが適切かどうかは疑問である。

信用を重んじるために豪華で広い応接間を幾つも取る弁護士事務所があるが、こんな場合は宣伝広告費として処理すべきだ。事務を執るためのスペースに対する支払いが賃借料でそれ以外は営業目的であると考えられるからだ。

そうすることで実際の賃借料がはっきりするし、案外こんなところで宣伝広告費を使っていると認識できる。

また商品在庫を保管する倉庫に支払うのも賃借料ではあるが、これも在庫量など項目を創設して処理すると在庫に掛かる費用が明確になる。

そう言う観点で考えると従業員の机を置いてあるスペースも人件費として処理しても良い。どの程度人件費が掛かっているかが分かり、如何に人件費が高くつくか改めて認識できる。

こういう処理は米国式会計システムの考えに戻づく。伝統的な経理システムは実質的ではなく、今後このような考え方が多く導入されるだろう。

保険料
これは法定福利費の従業員に対する保険料とは意味合いが違う。会社においてある手許金の盗難に対するもの、賃借事務所の万一の火事や破損、運転事故、あるいは売掛金に対する保険など、保険制度はとても発達しているので、万一の損害に関しては必要と思えば保険を掛けておくのが良い。

会社によっては従業員の突然の死に対して会社が何等かの損害(例えば優秀な社員の営業成績が無くなるなど)が発生するのが、それに対処して会社が保険を掛けておくシステムを導入することもある。これは退職金として支払う意味からも考慮に値する処理であろう。

ただ運転事故に関する保険は交通費や車両費に含めるのが良いのは前述の賃借料の処理と同じ考え方に基づく。

また商品を海外から輸入する時は必ず掛ける保険を商品の原価に参入するのはどの会社も行っていることである。

租税公課

会社同士が行う契約などに対して不条理に政府が税金を取るために収奪するものだ。だからできるだけ節約しなければならない。

手形を発行するときは金額に応じて収入印紙を貼らなければならないし、不動産の売買契約では多額の収入印紙の塗布が求められる極めて不条理な制度だ。

契約は複数の会社が行う約束であり、それを書面にすると契約書となる。それに対して収入印紙を貼らなければならないが、節約のため一部だけ発行して後はその写しを取る方式が普及している。

もちろん収入印紙を塗布しなくても税法上のことだけで契約は有効である。そのような観点や手数を考えて手形を発行するのは少なくなった。銀行と契約して支払いを通知するだけで手形を発行するのと同等のシステムがある。これを支払い信託と言う。その場合は収入印紙を貼る必要がなく、租税公課がなくなる。

また契約書に毎月の支払い額、期日を記載しておき、領収書を発行しないようにすれば良い。このようにできるだけこの不条理な税を支払う義務から逃れるのが良い。

収入印紙は契約書や領収書などの面に書いてあることを基準にして貼る必要が生じるので、それを念頭に置いて処理する。

なおこの収入印紙代を節約するために為替手形を発行してくる会社がある。為替手形とは荷物に同梱される手形の一種で、商品が顧客の手許に届き、問題なく受け取った時に受取りの証拠と支払い約束のために捺印して返す手形である。

手形は成立された時に始めた手形となるので、顧客が受け取って捺印して初めて手形として成立する。収入印紙は手形に塗布する義務があるので、為替手形には商品を受け取った側が収入印紙を貼らなければならない。私はこの収入印紙が塗布されていない手形を何度も銀行で割り引いてもらった。

税務署がそれを発見すると罰則が科せられるのは為替手形を発行した顧客側である。そんなことも分からず為替手形を発行する会社は延びない。為替手形の制度は古くからあるが今はほとんど使われない。一般発行される手形は約束手形と言う。