輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

中小企業における、銀行融資(借入)の方法

資金を調達するには幾つかの方法があるのは前述の通りだが、ここでは中小企業による金融機関からの借入に関して述べる。

会社がある程度の規模になり、それなりの歴史を重ねれば当然金融機関は融資の対象として会社を見るだろう。金融機関側の観点はさておき、会社は金融機関にどのように対処をすれば良いか、幾つかの心得がある。

金融機関は会社を融資対象として見る場合、何を一番重点的に考慮するだろうか。

もちろん会社が利益体質でないと対象外だが、そんな基本に立っても大変重要なことがある。それはトップの経営者の健康状態、能力及び人格である。健康でなければ会社は運営に支障を来すので、これは分かり安い。実際に病気勝ちの人は独立して会社を運営しようとはしないだろうから、当然である。

能力は会社の決算書などを見ればこれも一目瞭然である。問題は人柄や基本的な頭脳である。誠実であるか、勤勉であるか、将来を見据えての経営をやっているか。あるいは業務の内容が発展的かそうではないか。

そんな経営者の資質、人柄、私生活などが問題にされる。それはむしろ会社の業績より重視されるだろう。だから経営者は融資する立場にある金融機関の支店長や担当者などと仲良くなれるかどうか、少なくても好感を持たれなくてはならない。

時にはゴルフに行き、飲食を共にするなども有効的な方法である。

銀行に勤めるのはストレスの多いことだ。そんな担当者に更にストレスを与えるような言動をしていては担当者なそんな経営者に会うのを手控えるようになる。それでは駄目だ。

経営者は銀行の担当者より仕事ができるし、気宇も大きいだろう。だから経営については逆に社長が銀行の担当者に教えて上げることも多い。またその程度に勉強や研究をしなければならないのが、経営者だ。

担保がないと融資をしてくれないという話しを聞くことがあるが、それは誤解だ。経営者が信頼でき、会社が利益体質であったら、必要資金は無担保でも融資してくれるはずだ。

それをしてくれないというのは会社または経営者のどこかに欠陥があるからだろう。今は融資を申し込む会社も比較的少ないので、銀行は喜んで融資に応じるものだ。

さらに政府が運営する保証協会がある。

担保のない会社に対して融資返済の保証をする機関だが、無担保の枠は今や大きい。基本的な金額の枠以外に各金融機関が独自に持っている枠があり、しっかりとした会社にはその枠を使って保証協会と話しを付けてくれる。

総計で1億5000万円以上の枠があるので、これをフルに活用すれば会社を運営する資金には充分間に合うはずだ。また間に合うような経営、資金繰りを組まなければならない。

大きな取引先が倒産するとたちまち資金繰りに齟齬を来す。だから一社に対する売掛金はできるだけ少ない方が良い。少なければ相手が倒産をしても自己資金で賄えるし、金融機関も援助をするだろう。雨が降ると傘を貸してくれないというのは経営状態が悪いからだ、銀行をそのような目で見るのは良くない。

突発的な事故が起こった時、社長が会社に金を貸すことがある。銀行はそれを問題視しないだろう。会社の資金と社長の個人の金の合計が会社の資金と見ているからだ。経営者は会社が資金的に危機状態に陥ると自己の資金を提供しても会社を守る。それが経営者というものであることを金融機関は知っているのだ。

担保を要求された時、自己所有の不動産を担保に入れるのは当たり前で、それをしないと銀行も社長の腰が引けていると考えるだろう。

しかし困っても従業員所有の不動産を担保として借りるのは良くない。万一会社が倒産すると従業員は住むところがなくなる。自己の責任で会社を経営しているのであるから、従業員をそんな点で頼ってはいけない。

また正規の金融機関以外のところから融資を受けてはならない。

金利は高いだろうし、万一融資を受けた会社が非社会的集団であったりすると貴方の後の人生は悲惨なものになる。これは前述したが、もしそんな資金に手を出さなければならないようなら会社を倒産させた方がよっぽど良い。

金融機関は相当会社の状態が良くない限り、必要資金の全額を貸してくれない。会社にある程度の調達力があるかどうかを見極めているのだろう。それを見越して必要資金を水増しするか、融資の範囲内で事業を展開するかは経営者の判断に委ねられるが、虚偽の状態を提示するのは良くない。

融資を得るのと同様の効果があるのが手形の発行である。

仕入先が手形で買掛金を支払う条件を了承しても、できるだけこれはやらない方が良い。手形の期間が3ヶ月とすれば3ヶ月分の資金を手に入れた勘定になるが、ただそれだけで、会社の資金繰りが好転するとは思えない。上場規模で資金に余裕がある会社だとこれは金利のない資金調達方法だが、そうでない中小企業では手形を落とすのに毎月頭を痛めることになる。

当初は良くても会社に何かの資金的問題が発生したとき、一日でも資金が不足すると手形が不渡りになり、会社は倒産するし、会社もろとも社長がブラックリストに載ってしまう。

手形はそんな危険を伴うが、振り出す時は危険を予知しないで案外安易に振り出す。だから不必要や不適正な支出をすることが多い。在庫を絞ることをしない。無理な取引をするなどの行為をするので、余分な資金はない方が良いのだ。

相手の会社の社長が必要な電話に出ない。日中はどこにいるか分からないなどの状態が続くとその会社の資金繰りに何かの支障が起こったと考えなければならない。中には銀行の融資に手間取っているから、支払いをもう少し待って欲しいなどと要請があるが、こんな会社との取引は即刻中止するべきだ。

銀行からの融資は短期間で実行されるものだ。銀行は融資に長い時間掛けられない。従業員のコストを考えれば分かるが、融資が了承されると1週間以内に融資は実行されるものだ。