輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

中小企業の経費節減

中小企業において経費の節減は容易ではない。角度を変えて生産高、売上高の増加を図るべきなのだ。大企業では例えば旅費交通費の仮払いだけをする担当者がいたりするが、中小企業ではこんなことはない。

 一人で深い業務を行うことができないから、専門性がなく、効率は大企業より悪い。そこをどう補うか。それには高い給料を出しても会社に利益をもたらす従業員を確保するに限る。そんな従業員は中小企業では採用できないと考えるのは違っている。

大企業は優秀と称される大学を卒業した人材を採用するが、この人たちが仕事を優秀にできるかというと必ずしもそうではない。却って仕事ができない人の方が多い。大学で学んだことなど実地では役に立たないし、卒業した大学の偏差値が高ければ高いほど、記憶能力を駆使しているので、考える力がない。これは前に述べた通りだ。

むしろ中学、高校卒業という学歴しかない人の方が仕事における能力が高いことがままある。一旦能力が高いと判定できればできるだけ報酬を増やし、仕事の量と質を高めさせると同時に退職させないよう図るのが良いだろう。事務でも営業系でもこれは同じだ。

事務処理は何とかVBAでも簡単な言語を使ってプログラムを構築する人を養成すべきだ。これには学校に行かせるのが良いだろう。元々こんなプログラムを構築する能力を持っている人を採用するには余程注意が必要である。コンピューター馬鹿を採用してしまう危険がある。

什器備品、車両などはできるだけ中古にする。日本では今でも中古は「お古」という感覚があって、敬遠されるので価格が安い。誰かが退職して新しい従業員を雇用すると古い机などを使うので、このところは気にする必要がないだろう。

応接間などはできるだけ設置しない方が良い。お茶のサービスも来訪者に断って止めるが良い。お中元、お歳暮など儀礼的なものも不必要だ。

メモ用紙は新品の白紙を使わせる。2枚買っても1円にならないから、封筒を切って裏をメモ用に使用するなんてことは人件費の無駄だ。

会社が携帯電話を買い、従業員に与え、固定料金の契約をする。国内電話は全て貸与した携帯電話からかけてもらう。これで通信費の大幅削減ができる。

事務所は家賃が安いところに置くのはもちろんだ。利益が多くでている会社では高層ビルに事務所を構えるが、これは余り意味のあることとは言えない。ただ従業員を新規に採用する場合には力を発揮することもある。だがそんなことを就職の要件にするような従業員は実質的に仕事ができないケースが多い。

格を重んじて立派なビルに大きいオフィスを構える会社がある。だが考えてみよう。会社とは利益を上げるために集まった集団である。立派なオフィスは利益を上げることと関係がないなら、それは経営者の見栄である。経理的には宣伝広告費くらいであろうか。こんな場合は必要な割合を賃借料に上げて、不必要な割合を宣伝広告費で計上するのが良い。そうすると毎月どれだけの無駄な宣伝広告費を支払っているかが分かる。

社用車は緊急でない限り、できるだけ安いところで給油してもらう。会社から貸与された車を大切に乗る人は信頼のおける従業員である。いつも事故を起こすような人はよほど注意しなければならない。

新聞を会社で取ってくれと頼まれても許可をしてはならない。新聞の記事が仕事に役立つことはほぼない。まして新聞を会社で読むなんてことを許すのは以ての外だ。時間の無駄にしかならない。

ただ意味もなく続けている宣伝広告も再吟味の必要がある。2か月に一度で良いような広告は毎月出す必要がない。あるいはだらだらと慣習のように広告を出している。思い切って打ち切るべきだ。

業界が新しいとこ民生である場合は宣伝広告に多くの資金を投入する必要があるが、業界が古くなればもう広告は売上増に貢献しないだろう。だが必要とあらば更に多くの宣伝広告費も支出する必要がある。すなわちその広告が本当に必要な物かどうかを判定することが大切である。

手形を発行している会社は今すぐ銀行と話し合ってファクタリングの構築を申し込むのが良い。ファクタリングは融資の一種なので、融資をしてもらえなければ成立しないが、今は大体了承してもらえる。

ファクタリングは手形の発行と違って収入印紙の塗布が必要ではないので、その分の節約になるし、時間が短縮できる。是非このシステムを利用すべきだ。

いずれにしても経費を節減するのは限度がある。大幅な経費の節約は業務に支障を来す虞があるので、気を付けなければならない。本当の意味の経費の節減は従業員一人当たりの生産性の向上を通じて行わなければならない。