輸入貿易会社、社長の仕事術

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損益計算書

売上高は会社の本業に関する売上金額である。本業以外の例えば銀行から受け取る金利などは別途処理する。このように分けるのは会社の状態を正確に把握するためである。

会社は複式簿記制度を採用しているので、この売上高にも正式には反対科目がなければならない。それは原価額と利益であるが、売上がある度に毎回反対科目を起票するのは手間が掛かり過ぎるという理由で処理は試算表あるいは決算書を作成する時に行う。

前述したように純利益=売上高―(売上原価+販売費および一般管理費)であるから、先ず売上原価を出さなければならない。そこで略式では売上原価はこれも前述したとおり(売上原価=期首棚卸高+仕入高―期末棚卸高)であるから期ごとに実地の棚卸をすることが一般的である。

 期首棚卸高

これは前期の繰越即ち期末棚卸高である。仮に前記期末棚卸額が間違って多く計算されていると、前期の利益はその分多く、逆に間違えれば少なくなる。

しかし今期も棚卸を実行するのであれば前期に間違っても二つの期の通期では修正される。もし前記に間違って少なく検数、計算して税務調査が行われた場合、修正申告及び税と加算税の支払い対象になる。

税は決算期後2か月以内に支払わねばならないので、その時期を過ぎると加算税が生じる。加算税率は遅延期間が2ヶ月までは低率であるがそれを超えるとかなりな高率を課せられる。公定歩合や銀行金利が極めて低利である現在、非常に不合理な制度ではあるが、これが政府のやり方で不誠実である。

期末棚卸高
実地に棚卸をしなければ実際の金額が把握できないが、試算表段階では簡易的に概算額を元に計算することも多い。しかし商品をロジスティクスという種類の倉庫に置いてあれば、期首や期末の在庫数は教えてくれる。それを元に単価を掛けて金額を出す。

会社で棚卸の数や額を計算するシステムが導入されている場合はそれを利用して期末棚卸を把握できる。しかし入力ミスもあり、実地棚卸を実行するのが適正なやり方である。。

こうして売上総利益金額が算出される。その額から経費(販売費と一般管理費)を引いた額が営業利益である。

販売費および一般管理費
給与手当

何と言っても会社に取っての最大の経費は給与であろう。全経費の半分くらいを占める大きな勘定科目であるし、給与が多すぎると会社の利益は少なくなる。逆に少なすぎると従業員の不満が噴出して、有能な社員は退職してしまう。

経理的な意味だけではなく、これは会社の方針というか経営者の考え、誠実度、経営感覚が如実に現れる項目である。

あまり給与が少ないと残っている従業員は能力のない人たちばかりになるのは前述の通りだが、間違ってはならないのは過分の給料やボーナスを支給することである。従業員は会社のシステム、資金その他を利用して仕事をしている。それをはき違えて、自分が営業をして売っているから会社には利益が出るのだと考えられる従業員も多い。これは充分説明しなければならない。

だがそれを分かっている誠実な従業員もまた多い。その人たちには会社が利益を出せば多額のボーナスを支給できるのだが、その人たちだけを優遇することもできない。人柄が良いということはその従業員の能力が高いことを意味する。

また給与を支払うということは従業員に取っては収入であるので、税金、社会保険料その他の計算を従業員に成り代わってやって上げなければならない。従業員は経理的には素人で複雑な計算ができない。できるとしても個別にやるのは効率的ではない。

そこで会社は社会保険労務士なる専門家に依頼してそれらの計算を代行してもらう。現在の相場は中小企業では1人月額10000円程度であろうか。従業員数が増加するとその作業単価は下がるかも知れない。

政府は時に応じて税金や社会保険料の料率を変更するので、会社としてはその変更に応じて処理しなければならない。その手間を考えると外部委託するのが良い。委託された社会保険労務士の方でも政府の恣意的な変更を全て把握しなければ思わぬミスを犯してしまう可能性がある。外部委託については後述する。