輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

店舗デザインを、営業マン視点で考えた

店舗設計、設営は営業マンの仕事であるかどうか、意見の分かれるところだが、ここにも営業をする感性を生かさなくてはならない要素がある。

店のロケーションが悪いと客の入りは悪いのは当然であるが、良すぎても却って問題を起こす場合もある。居酒屋が国道沿いにあると、客は何だか入り難い。

扱う商品(サービス業も含めて)の種類によってロケーションを決めなければならないが、一般的には良いロケーションに店を持つときには資金の負担が多い。

だが、資金量が少ないのでロケーションの悪いところにしか店が持てない場合はどうすれば良いのか。そんな場合は店を持つのを断念して、資金ができてからということも選択肢の一つであろう。

我が社で大通りに店を持ったことがある。

それはアンテナショップで、成果が出たので3,4年で店を占めることになった。ところが敷金として預けた3000万円を返還できないとそのビルの所有者から言われた。

結局は何か月か経って返還はしてもらったが、こんなケースは考えていなかった。大きな通り沿いにビルを持っているから、調査もせずに大きな額の敷金を預けたのである。

敷金を預けるということはその店舗を撤退する時に返還してもらわなければならないので、会社には被返還債権が生じる。債務を持つ場合は大した調査は必要ないが、債務を持と時にはきっちりとした調査をすべきである。

客が入るかどうかは店の外観で決まる。

ディスカウントショップ、高級品店、安い居酒屋、高い割烹料理店、洋品店、肉屋、スーパーマーケット、本屋、眼鏡屋、その他各種の店舗があるが、外観を決める一番の要素は値段であろう。

安い商品を売る場合、あまり高級やセンスの良い外観だと客が敬遠するだろうし、高い商品が営業アイテムだとそれなりの凝った外観も必要かも知れない。

ここで気を付けなければならないのは、販売する商品の説明をしただけで、後は店舗デザイナーに一任することだ。デザイナーは営業マンではない。

自分が作るデザインが如何に良くできているかが彼らの考える唯一のポイントである。最近は大資本が運営する居酒屋が多いが客の立場から外観を見るといかにもチェイン店らしく、味は画一的であると想像できる。

如何にも洒落ているが、屋号あるいは外観を整えるのに使っている素材などを見るとチェイン店だとすぐ分かる。

デザイナーに頼む時はどこにもないデザインでそれなりに洒落たあるいは野性味のあるものを作れとか、良い物を売っているがディスカウントショップだから安いイメージを盛り込んで欲しいとか頼まなくてはならない。

この点に妥協は禁物だ。納得がいくまでとことんデザイナーに求めなければならない。それに嫌気が射すデザイナーとは縁を切るより仕方がないだろう。

ここまでくると営業としての仕事ではないようだが、客は何を見て店に入ってくるのかという感性は営業マンが持っているものだ。

それが終わると今度は内装だ。

ここでも値段の安い高いが判断の基準になるだろう。ディスカウントショップなのに余り美麗な陳列方法は敬遠されるし、高級品を販売する場合は逆だ。

客が入ってくると営業マンの出番だ。店員のアドバイスを欲しい客、自分自身で選びたい客、あるいは下見をするかただ見るだけの客かどうかを見極め、応対しなければならない。

営業マン(この場合は店員というべきか)は全ての客は特別な客として扱うように心掛けなければならない。例え初めての客でも自分は特別扱いをされていると感じさせなければならないのだ。

大した金額の買い物をしなくても、将来大きな金額を使ってくれるかも知れないし、常連になってくれる可能性も高い。

前にも書いたが客は商品に付くのではなく、店員に付くのだ。その店員が休みの場合は買わないで帰る客もいるのを覚えておかなければならない。

美容室などは特にそうだろう。もし貴方が独立する意向があるとか、他店に移籍するとかの考えがある場合は特にそうだ。髪を整えながら話をする。その受け答えがまた難しい。

黙って作業だけをして欲しい客もいれば話好きな客もいるだろう。でも美容師は客のどこかを褒めなければならない。褒められて嫌がる客は先ずいない。