輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

あなた(営業マン)の印象

人は第一印象で会った人の能力や人柄を判断する傾向にある。確かに第一印象はその人のことの多くを語っていることが多いが、その印象の影に隠れたこともある。

第一印象だけで人の全てを判断してはならないが、それが社会を構成する人の常である。営業マンはそのことを弁えて、自分が取引してくれるかも知れない担当者にできるだけ良い印象を与える努力をすべきである。

印象は顔の表情だけではなく声、身振り手振り、使用する言葉、服装、姿勢、視線、その他全てから放たれるものだ。これらの全てに対して意図的に完璧を期すことはできない。だから自分が考えて行動する様式を常に律して、自分の印象が自分の常の姿を表現すると意識しなければならない。

とは言ってもそれを達成するには長い時間を必要とするかも知れないし、中には声のように持っているものを変えるのが不可能なこともある。

声は男女とも少し低めで柔らかいことが好まれる。

営業の場だけではなく、このことは日常生活の上でも求められることだ。耳朶を柔らかくくすぐる音声は相手の心に豊かさをもたらす。

アメリカでは俳優になるには良い声を持っていることが条件とされる。必要以上に大きい声や甲高い声、舌足らずの発声は相手に不快感を与える可能性があり、厳に慎むべきである。

相手がある程度老齢に達している人であれば、声は若い人に対するより少し大きめの方が良い場合もある。しかし一番必要なことは言葉が明瞭なことだ。相手が聞き返すことを繰り返すようだと、相手は面倒になり、貴方の話していることに真剣に耳を傾けることはなくなるだろう。

相手が話しをしている時、よそ見をしてはいけないのは誰でも分かるが、話し手の目を凝視することも却って拙いこともあり得る。相手がとても真剣に話している時は、こちらも真剣に聞かなければならないので相手の目を直接見ることもあるだろうが、話している間中真剣でいることはない。

そんな時は相手の目の少し下を見れば良いのだ。両眼の間と鼻が隆起を始める辺りに柔らかく視線を固定するのが一番好まれるようだ。

気持の中ではなるほどと相槌を打ちながら相手に視線を送る。時には子供の話しを聞いている母親のように、また時には何かを習っている生徒のように、相手の話しの内容、精神状態に合わせて気持ちを定め、その表情として視線の状態を設定しなければならない。

だらしない姿勢は相手に不快感を与える。

直立不動だけでも緊張が解れないし、背中の筋肉を弛緩させ過ぎても良くない。背は真っすぐだが、心に余裕のあることが現れる姿勢を保ちたいものだ。

立って話す場合もあるだろう。この時両手はズボン、女性でスカートを着用している場合は両足の真ん中の辺りに手を固定して話しを聞けば良い。

相手の話しの真剣度によって手の緊張感を強めたり、緩めたり臨機応変に定めなければならない。兵隊が上官の言葉聞く時は真剣な話しをしている時と同様にズボンの折り目の辺りに手を固定して聞く、こんなことも営業の場では求められるかも知れない。

相手が面白い話しをしているとき、あるいは冗談を飛ばしている時などは手を打つのも良いだろう。時には本当に面白いことを話してくれる相手もいて、その時には思わず手を叩いてしまうということがある。

派手な服装は好ましくないが、これも時と場合による。一般的にはある程度上質な服装で、センスの良いネクタイ、女性の場合は落ち着いた素材を用いた服装を好まれることが多い。

しかしながら貴方自身の能力が商品である場合、例えば貴方が作るデザインを売る場合などは余り地味な服装では能力を疑われることもあり得る。そんな時は派手あるいは地味、どちらにしてもセンスの良い服装が必須である。

もちろん一番大切なことは使う言葉や文章である。

申し訳ないが、相手の知能が比較的低い場合は相手に合わせて完全な理解をされるような言葉と文章を使用しなければならない。そうでなければ相手は貴方が上目線で話していると勘違いするだろう。

子供と話す時は座って相手の年齢を考慮して話す。そんなことを想起すればこのことはおのずと理解されよう。相手の年齢や地位、その他相手に合わせて言葉や文章を選択しなければならない。

地位が高い年配者は現在の若者が使用する独得の言葉を嫌う。しかし貴方は正式な単語や文法を分からない場合が多い。でもこれらは全て学校で習っている筈だ。

こんなことを全てできるにはある程度の経験が必要であるが、その都度勉強し、考えなければいつまで経っても修得できない。時々私は相手の経験の長さを聞くことがある。その時は言葉や文章、内容が余りに稚拙だからだ。