輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

何に魅力を感じさせるか(メリット)

 顧客を新規に獲得するとき貴方は相手に対して何で印象付け、結局成功するか。前述のように自分自身を売り込むか、会社か、商品の品質かあるいは価格か。

貴方自身や会社が如何に魅力のあるものでも、それだけで相手は取引を開始しようとしないだろう。相手が対価を支払うのは商品に対してである。

商品が今まで市場にないものか、あるいは競合商品より品質が良いか、値段が安いか、どうしても最終決断は商品の魅力に掛かっている。

しかしただ商品に魅力があるだけでも駄目であるのは前述した通りで、相手が決断してくれるには複数の要素が必要だ。商品に魅力があり、貴方または会社も好ましく思ってもらわなければならない。

自分が商品を買うことを考えてみよう。

どうしても欲しい商品なら買うが、買おうかどうしようか迷っている時、買う決断をするのは複数の魅力や要素を満たしているからだ。いちいち自分の心は分析しないが、試しに何故買ったのか考えるとそれが分かる。

商品が魅力的でどこにも売っていない場合は簡単だ。その商品が相手の予算内であれば買ってくれる確率が高くなる。そうでなければ価格が問題になるだろう。

相手が今現実にその商品を仕入れて再販しているか、もう買い替え時期が到来している時、相手が一番考えることは価格である。しかし貴方の会社と取引がない場合、どの程度値段が安ければ新規に取引してくれるかどうかはその安さの率による。

一般的に高額でない商品の場合、5%ではかなり難しい。土地や家屋は一緒の物はないだろうが、同種類の物はある。この場合は5%も安いと相手は真剣に購入を検討するだろう。

商品の単価が低ければ低いほど、価格差が大きくなければ相手は魅力的だと思わない。大体20%も安ければ売込みに成功する確率は極めて高くなるが、果たしてそんなに安くできるだろうか。

どの程度の価格差があれば相手は魅力的に感じるか。貴方の感性と雑談を通じて探らなければならない。貴方がしなければならないのは相手が魅力的と考える最高価格を知ることだ。

売込み価格が安ければ貴方の会社の利益率は下がる。だから商品の価格の低さを売込みの具にできるだけ使わない方が良い。価格で取引するかしないかを決める顧客は更に低い価格を提示する他社が現れればすぐに仕入先を変更する。

実はこういう会社はリスキーな会社なのだ。そんな会社は倒産する確率が高く、取引を続けると大きな損害を出すことも考えなければならない。

一番好ましい状態は相手が現在の取引先のサービス内容に大きな不満を持っている場合だろう。

出荷が遅い、在庫がない、商品内容の説明が不適切だなど、貴方と会社が良いサービスを提供できると分かれば取引を開始してくれる。どのようにそれを説明するか、できるだけ具体的なものでなければならない。

新規に取引が開始されても、相手の注文金額が少ないほど、色々とクレームを付けたり、よりよいサービスを求めるものだ。そしてそんな会社はまず大きくならない会社だ。

注文額が小さいにも関わらず手間の掛る要望を投げ掛けてくる。午後5時ころに注文を出し、今日中に出荷せよとか、どうしても今日入手したいからできれば持って来て欲しいなどと無理難題をぶつけるのだ。

そんな時貴方は臨機応変に対応しなければならない。そんな会社でもやはり顧客は顧客だ。小さい注文をいつも出す会社でも100社も集まれば合計売上金額は大きくなる。

 大きな注文を出す会社は決まりきった方式でできるだけ自社や貴方の会社に受注、発送の手数が掛からない方法をシステム化してある。このような会社と新規に取引できるようになれば会社はある程度安定する。

顧客には1級の顧客から5級の顧客がいるのは仕方がない。1級の顧客が何か特別な要望をしたときはチャンスだと思わなければならない。顧客の要望を120%満足させてやれば貴方の会社との取引は長く続くことになる。

例えば担当者が昨年の買い付け額を尋ねてきた場合など、月別、商品別の売上高(相手にとりば買い付け額)を明瞭にリストアップしてやれば喜ばれる。

相手はそこまで要求していない時でも相手に良いインパクトを与えるだろう。それが信用に繋がり、他社と浮気をすることがなくなる。これは夫婦間でも言えることだ。

一旦取引が成立すれば、貴方はことあるごとにサービス内容を公上させなければならない。これは値引きを防止する役目を果たすし、他社との差別化を図る手段にもなる。

また時間が許せば特段要件がない場合でも訪問するのが良い。こんなことをしてくれる仕入先は極めて少ない。