輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

顧客は、営業マンからサービスを受けたいと思っている

全ての顧客は特別な客として扱うことをお勧めする。もちろんそんなことをできないが、少なくても相手にそのように感じさせると良いだろう。

飲食店やサービスを売る店では特にそうだと思われる。飲食店や喫茶店(セルフサービスの店は違う)では料理やコーヒーを売るという目的もあるが、客側からすれば良いサービスを受けたい。雰囲気を楽しみたいという希望も持っている。

そんな店で自分が特別扱いされているという感覚は気持を豊かにする。時々来る客の名前は覚えた方が良いし、少なくても「よく来てくれてありがとう」くらいの意味を示すような態度や表情はリピート回数を増やすこと間違いがない。

こんなことがあった。

若いころ立ち食いうどんが好きで会社の近所の店にしょっちゅう出かけた。食べるのはいつも「ごぼ天うどん」。店前に券売機があって、そこで食券を買ってカウンターに持っていくとうどんを茹でて、ごぼ天を載せて出してくれる。

ある時そこでやはり食券を買ってカウンターに進んだ。客はまばらにしかいない。で、見るとカウンターにはすでにごぼ天うどんが置いてあった。でも別の人が頼んだと考えて食券を出すと、職人がにやにや笑って、はい出来上がりと言って、すでに置いてあったのを指さした。

私は驚いたが、その職人はにやにや笑うだけ。どうも私がジョークを言ったりしたりするのが好きだと読んでいたらしい。すっかり嬉しくなった私はすぐに器をテーブルに持っていって食べた。

しばらくそんなことが続いて話しをするようになり、職人と親しくなったが、いつの間にかその職人は辞めてしまった。私がその店に行く回数も減った。

昼間あるところで仕事をした後ジョナサンに入る。

頭を休めるためだが、ここでもアイスクリームしか食べない。たまにビールを飲むこともあるが、気候が暖かくなると大概アイスクリームである。そこには一人美人の店員がいるが、何となく話しをするようになった。

その人はその店にもう10年以上勤めているらしいのだが、何回か行くと私のことを覚えたらしく、私が座ったテーブルに来ても注文を取らない。しばらく待つとアイスクリームが出てくるという具合だ。

時々その店員がいないことがある。

そんな時は何だか損をしたような気分になり、早々に店を出る。その店員は何人かの客と仲が良いらしい。それらの客も他の店員と接する時と態度が違う。

客は料理やコーヒーに付くのではなく、営業マン、この場合は店員に付くのである。会社対会社の取引でも購買担当の名前を覚えることはもちろん、その人の境遇などは頭に入れておいた方が何かと営業がし易い。

部下を何人か持つ上司は部下の一人一人が特別であると認識して仕事を頼めば、相手もそれに応えてくれるものだ。営業を掛けるにも仕事をさせるにも貴方の相手は全て特別の人なのである。

営業をするのはコンピューターを使うのとは違う。コンピューターは機械だからいつも不変の仕事をしてくれる。だが人はその時の自分の精神状態、気候、取り巻く環境、タイミング、貴方との仕事に許される時間。そんなことに左右されて考えが変ってくる。

貴方に話す言葉に対しても感情が左右されるだろう。そんな相手に貴方は売込みをしなければならないのだ。貴方はどうすれば良いのだろうか。

本に書いてある理論を実践する努力をしても思う通りの結果が出るとは限らない。理論は一般論であって、現実の仕事の場では理論通りにことが運ぶとは限らない。

貴方は催眠術師なのだ。売り込む相手の気持ちを買う方に誘導しなければならない。

すぐに商品の説明をした方が良い場合もあるだろうが、雑談だけでその日は帰ることも多いかも知れない。

相手を上から下から、横から観察して話しを進め、購買意欲を高めることが必要だ。相手はもちろん買った商品の価値に対して代金を支払うのだが、その前がある。

相手に買う気にさせるにはどのようにすれば良いのか。

相手が同じでも日々その相手の精神状態も違う。言葉で誘導するか、値引きをするか、結果が出なければ(必ずしもその時買ってくれるということではない。次につなげるあるいは情報を取るという結果もある)貴方のその日の営業行為は失敗なのだ。

そうならないようにするにはどうすれば良いのか。10社回って1社と取引が成立するのか、1社だけをターゲットにその会社と取引がその日に成立するのか。それによって営業の仕方が違うだろう。

もし貴方の提案する商品が相手に取って何らかの利益をもたらすものなら、貴方は売込みに成功しなければならない。それには相手の気持ちを誘導することだ。そんな練習や勉強をしていれば営業成績は必ず上がる。