輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

創業は馬鹿さ加減だ

さて創業に成功する人の割合は10%くらいだとの統計が出ている。即ち創業した人の90%は失敗をし、投下した資金はゼロになり、借金だけが残る。時間も失われ、年齢がある程度高いと再就職も困難だと思わなければならない。

 

それでも創業するのか。何故創業したいのか。

それには大きな魅力があるからだ。社長と呼ばれる快感、名誉心、サラリーマンには想像できないような金。それらの全てを手に入れ、高級なレストランの常連になれるだろうし、男なら女性に事欠かない。高級な車に乗り、家は高級地の庭付きの一軒家。着ているものはイギリス製の誂えの背広。イタリア製のネクタイ。満員電車とはおさらば。通勤はお抱えの運転手が会社まで運んでくれる。

リッチで気分の良い毎日が待っている。独身の男性は美しい妻を手に入れることが可能だし、女性ではブランド物の洋服、高価な装飾品を身に付け、尊敬される身分になる。そんな夢が叶えられるかも知れないからどんな危険、損害が発生するか分からないのに起業するのだ。

 

しかし成功しても自社の繁栄の寿命は30年くらいと言われている。

それ以降は起業に劣らない難しい作業を成功させなければ会社は存続が危ぶまれる。それに成功したのが、旧東レであり、富士フイルム、ソニーである。東芝の一部は身売りされ、銀行は消滅の危機にある。

社会は絶えず変化し、その変化に対応しなければ会社は消滅する。それが会社の運命であり、経営者はそうならないように努力をしなければならない。  

それでも企業は大人の夢だ。しかし夢は達成するともう夢ではなく、大した感激はない。夢が夢であった方が良かったと思うこともある。

 

では起業に成功する人はどんな人だろうか。

それには二つの条件が求められる。

第一に仕事に対する能力である。

これは当たり前のことだろう。サラリーマンをしている時に全精力を使っていない人は起業に成功しないし、起業するつもりにもならないだろう。

第二には馬鹿さ加減だ。

失敗を考えて二の足を踏むタイプの人は起業に向いていない。精々サイドビジネスで小さな小遣いを稼ぐのが関の山だ。自分はこんなことをしたいと猪突猛進でよそ見をしないで、目的に向かって突き進む。そんな人だけが起業に成功するのだ。

普通の人が馬鹿さ加減を持つのは至難の業だ。そういう意味では勤めている会社の倒産や貧困などが創業に向かう起爆剤になる。芸能人に貧乏など家庭環境が極端に悪い人が多いのはそんな意味合いがあるのだろう。

これらは言うのは容易いが実行は難しい。特に第二の要件を自然に持ち合わせている人は少ない。その中で10倍の競争に打ち勝った人だけが、ある程度の規模の会社を運営できるようになる。