輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

勉強は、社長でいる限り続く

会社を運営するということは小さいが一つの国の政治を行うのと似ている。政府では官僚という管理職がいるが、これも会社に必要であろうし、選挙で選ばれる議員は法律、会社で言えばシステムや社是、キーワード、アイデンティティの構築などをする人と基本的には同じ種類のことをする。

会社を創業した当初はこれらの多種多様な仕事をほぼ一人でこなさなければならない。事務関係で絶対やらなければならない税務処理などに対しては外部の誰かに頼むことが多いが、費用も掛かり、頼む人の技量も図らなければならない。

昼は営業、夜は事務をやり、更にそのような外部の人との協働作業も待ち構えている。時間を有効に使い、効率の良い運営が求められる。

会社を創立する時には司法書士などに手続きを依頼し、税務申告は税理士、トラブルが起きると弁護士、特許をとろうとすれば弁理士、システムやサイトの構築にはその分野の専門家に頼むことになるケースが多い。

この時ある程度知識があるのとないのでは頼んだ結果も違うだろうし、料金も相違してくる。自分自身にある程度の知識や見識があると良い結果が得られる。

 

しかしサラリーマンをやっていた貴方はそれら全てを持ち合わせてはいないだろう。

勉強をしなければならないのだ。会社を運営するには運営と同時に自分自身を磨く努力が必要なのだ。

自然に身についてくることもあるだろうが、それは偶然に過ぎない。一応の結果を得るだけが目的なら、貴方の知識などは必要がないが、何かがあるごとにそれをチャンスと思い、その関係の深い知識、知見を養うと時間的な効率が良いし、モチベーションを態々作らなくても良い。

10年もそのようなことをやっていると積み重ねの結果、広範な能力を手に入れることができる。

 

私は学校時代、あまり勉強をしなかったので、それを反省し、社会に出てからは機会を見つけて勉強することにした。

語学や法律を学ぶための学校にも通ったし、、会計学、簿記、特許、医学、社会保険労務、システム構築、その他自分が知らない分野の勉強をいつもしていた。

そのお陰で税務調査も税理士の立ち合いが必要なく自分だけで対応できるし、裁判も一人でできる。60歳くらいから始めたシステムの構築は今ではプロとして販売できる腕になった。

簿記に関してもソフトを作れるし、経理担当者を指導できる。変わったところでは指圧の勉強をしたことだろう。捻挫、寝違い、ぎっくり腰などは2,30分で治してあげることができ、喜ばれている。

会社を運営していると必ずトラブルが発生する。その事実が念頭にないと、いざという時になって慌てるし、解決が困難になる。それを回避するのが、広範な知識、知見である。

例えば訴訟したり、訴訟されたりする時に弁護士に丸投げするのではなく、弁護士が作る書類の形式、用語、内容などを吟味しながら勉強するべきだ。裁判には同道して、それがどのように進んでいくか、見るのも面白い。

 

裁判は裁判所が中心になって進んでいくと素人は誰しも考える。

しかしそれは違う。裁判は主として提出する書類を元に進んでいくのだ。裁判所でのできごとは最初私を驚かした。

裁判官が「提出された書類はご自分の意思に間違いないですか」と原告、被告の両者に問う。それで両者が「間違いない」と言うと、それでその日は終わり。次回の裁判の日取りを通告される。その間、1分から3分。それが何回も繰り返される。裁判とはそんなものだ。

日本の裁判制度はこんな様子だ。だから弁護士の腕が悪いと不当な裁判結果が出たり、冤罪が発生するのだ。ここでは如何に書類を作成するかが極めて重要な役目を果たす。これについては後で詳細に説明するつもりだ。

税務調査の目的は本来公平な税の負担がされているかを調べることである。そうであれば税の支払い不足、支払い過多の両面が調査の対象になるが、実態はそうではない。

税務官にはノルマがあり、税の支払い過ぎなどは調査しようとしない。これは法律違反である。こんなことを税理士は教えてくれない。税理士は書類を作り、質問に答えるだけだ。質問することは答えることより難しく、貴方には質問をする能力がないだろう。

社員にしろ外部委託相手にしろ、優秀であればあるほど、貴方の会社に利益をもたらす。社員の能力、人格を図るのは難しくないが、外部に委託する相手がどの程度の能力を持ち合わせているか判定するのは容易ではない。

それをするために社長は主として法律を知らなければならない。その上で税務、会計学、簿記その他の知識が必要になるのだ。そう、社長になった時から勉強が始まり、社長でいる限りそれは続く。

酒を飲んだり、ゴルフを楽しむのも良い。しかしその前に勉強がある。勉強をしながら人生を楽しむ。そんな頭の切り替えが求められる。そうでなければ人生を楽しむこともできないし、会社の運営にも齟齬をきたす。