輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

頭は二つに割れない

創業 その4 

創業した当時社員はなかなか雇えないし、仕事は案外沢山ある。営業、資金繰り、事務処理、などなど経営者が全てをやらなければならない。すなわちオールマイティであることが要求される。

 

しかし人はオールマイティではない。例外的な天才は別として営業や外部との交渉に長けた人は事務処理が苦手な人が多い。ここを何とかクリアしなければ会社はどんぶり勘定になる。

そんなことをある程度クリアできるのがシステムを組むことだ。しかしこれには多大な費用を拠出しなければならない。

もし可能なら週に2,3日でも事務処理に来てくれる人を雇うのが手っ取り早いだろう。定年退職後の人は案外雇い易くて、賃金が低く、相手に取っても収入の道がある程度開けるので良い方法の一つであろう。

 

頭を二つに分けてはならない。

創業する人は営業畑の人が多いので事務は苦手であるので、敢えて事務を自分自身でやり営業が疎かになるケースをよく見かける。これは避けなければならない。

しかし資金がない。他に方法はない。昼間は頭を営業だけに向け、夕刻営業が終わると何とか頑張って事務処理をする。即ち時間を決めて別作業をやるのが、唯一の方法かもしれない。

ある程度粗利(まだ純利ではない)が出たら思い切って、事務処理をする人を臨時でも良いから雇うと、営業が思っていた以上に進むことを発見するだろう。

もし創業資金に余裕があるなら、最初からそんなアシスタントを雇うのが理想的である。営業が進まず、トラブルが発生した時など、その人がある程度助力してくれることもあるし、話し相手にもなってくれるだろう。

そんな精神的な意味合いもあって、自分一人より誰か横にいるのはとても心強いことなのだ。目に見えた助力が例えできなくても、話しをするだけでも精神が休まる。

繰り返すが頭は二つに割れない。同時に二つのことをやるのは愚策である。COMPANYというのは友達という意味で、会社は一人では運営はできるものではない。当初は何とか持ちこたえることができるが、長年それをやると精神が病んでくること必定である。

 

では友達と資金を出し合って会社を起こせば良いのか。

しかしこれが後で後悔をする元になる。相当きっちりと利益や経費の分配を決めておかないと喧嘩の元になるのだ。

日常関係が近ければ近いほど、後の諍いは大きくやがて袂を分かつことになるだろう。そうすると友達という貴重な関係が無くなってしまうし、兄弟だと法事で顔を合わせるのも気まずくなる。

自分がトップの経営者で自分より少ない資金を出してくれるいわばサブのような人がいれば良いのだが。この場合はその人は縁の下の力持ちになり、自分のアシスタントとして助力してくれる。

しかしこんな好都合な人はなかなかいない。トヨタは営業畑と技術畑の二人で創業して、その後も良い関係が続いた。それがトヨタの基礎を作ったのだ。

 創業とはそんなに大変なことなのだ。四面楚歌の時代が続き、苦難の連続である。しかし多くの人が創業し、そして成功している。彼らは矛盾を抱えている状態を克服して成功したのだ。

 

ブラック企業に勤めていても将来がない。

毎年赤字を出している会社にいるといつ会社が倒産して収入がなくなるか分からない。そんな時には創業を考えるチャンスだ。しかしその勇気と馬鹿さ加減がない人はできるだけ早く転職すべきだ。

人生は一度しかない。創業に失敗したと言って、やる気があればいくらでも取り戻せる。馬鹿な上司の馬鹿な命令に従うと定年を迎えた時にほぞを噛むだろう。

自分の会社を持って定年がないといつまでも若く、そして精神は生き生きとしている。それはものを考えるからで、頭の使い方としては素晴らしいことだ。 

そう言う意味でもできるだけ若い時に創業するのが良い。失敗してもどうとでもやり直せる。青雲の志を持とう。