輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

輸入の際、運送・倉庫会社を決定する注意点

輸入相手国の国内運送については任せる以外にないだろう。事情も分からないし、料金に関する知識もない。迂闊に自分でやろうとすると思わぬトラブルに見舞われる。

国際輸送については前述したとおりで、乙仲に探してもらい条件にあった便を選択しよう。

 

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 ただ船便の場合で東京近郊に倉庫がある時は東京か横浜の近い方の港を指定するように心がける。東京港は抜港と言って、貨物が少ないと立ち寄らないことも多いので、その場合は横浜から東京まではトラックでまたはコンテナーで運んでくれる。もちろん料金は無料だ。

最近は運転手が少ない関係で国内の運送料が高騰しているので、これも注意をする必要がある。通関が終了すると何日かは保税(まだ海外貨物として扱う)倉庫に無料で置いてくれるが、それを過ぎると有料になる。

大型の貨物を輸入する場合は20フィートか40フィートのコンテナ―で輸送することになるが、結構大きいので倉庫はそれに対応する道路に面しているところの物にしたい。

最近はできるだけ在庫を持たない会社が多いので、空き倉庫を見つけるのは難しくないと思われる。ただ料金のことを考えると群馬などにある倉庫を探すのが得策だろう。

保管料は変動があるが、坪あたり3~4000円と見ておけば良い。ただ保管だけの倉庫だとこちらから作業員を派遣して梱包、運送の手配をしなければならない。

これを避けるためロジスティクスと言って倉庫の方でそれらの手配や納品書まで作成してくれる倉庫があり、現在はこれが主流になっている。

もちろん作業料や納品書作成料を要求される。しかし納品書作成の手間や郵便で送る料金を考えて、一般的には納品書を梱包の中に入れてもらうのが良いだろう。但しこれら書類の作成がプログラム化されていない倉庫もあって、そんなところでは納品書作成料だけで50円ほど徴取されることもある。こんな場合は自社でVBAでも使ってそのソフトを供給して料金交渉をするのは可能だろう。ちょっと慣れるとVBAでソフトを作成するのはさほど難しくはない。

単価の割に小さな商品、例えば化粧品、アクセサリーなどは事務所に保管して、自社で発送処理をすることをお勧めする。特に高価商品については倉庫に任さるとトラブルの元だ。

郵便制度を利用して、郵便小包で海外の仕入先から送ってもらうのも検討の余地がある。この制度をEⅯSという。

航空便とこの郵便小包は総合的にどちらが安いかは商品の体積や重さとの相関関係で決定する。それに郵便小包の場合は通関料が極めて安く、このメリットは大きい。

だがこれを担当する郵便局員は関税を徴収するのを忘れることが多い。あとで税関が関税を適切に支払っているかどうかを調査にくるとその関税の不支払いについては加算税を賦課するので要注意である。

自分たちが関税を取り忘れたのにこちらの責任にするのは腹立たしいがそれが現状だ。そんな場合は関税を徴収し忘れていると郵便局に通告し、支払わなければならない。何とも馬鹿らしいシステムが採用されているものだ。

総合的に航空便と郵便小包のどちらが安価というのは考え方、あるいはその時々のケースによる。どちらが便利で安価かはその都度考える必要がありそうだ。

輸入が正式に許可されていない商品を輸入する場合、個人に頼んで郵便で送ったものを受け取ってもらい、回収する方法を取る会社がある。だが個人がそのような輸入をするのを許可されているのはあくまで個人使用が目的で商業が目的であってはならない。

このように輸入仕入に関して見てきたが、商品によって扱いは違うし、制度も区々に変わる。最初は少量から初めて修練しながら、扱い量を増やしていかないとどんな大きな損害を被るか知れたものではない。

それに政府の制度には合理的な考えがないようなこともあり、ただ理由もなく、対応しなければならない。あるいは仕入先も風習や習慣が違い戸惑うこともしばしば。細心の注意を払ってもトラブルの発生は時として発生する。それをある程度見込んで輸入仕入はしなくてはならない。