輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

経理

未収入金は営業(本業)以外の未回収の金額である。たまたま会社が所有しているアパートの家賃の未回収分や、売却した株式の未収代金などがこれに当たる。

売掛金と同様、いずれ現金、預金に変化する資産ではあるが、この割合があまりに多いと会社の経営状態に歪さが感じられるし、実際好ましい状態とは言えない。銀行が融資をするために評価する資産としてはマイナスになることが多い。

商品

商品が在庫にあるといつまでも現金、預金には変化しない。商品は販売することで資産としての実際の価値を生む。そういう意味では商品の資産としてのランクは現金、預金より低い。

しかし在庫商品がないと注文に即応することができないので、どの会社も在庫を積むことが多い。

 在庫を持たない会社は仲買でしかなく、格が低い。在庫を持っている会社は江戸時代から問屋と言われ、仲買より経済社会では上位に位置する。

 一般的には在庫を持っている会社の営業利益率は高く、発言力も増すものだ。仲買は他社の在庫を当てにした営業であるから、力が弱い。

在庫を持つには資金が必要だ。資金は金融機関からの借り入れや自己資本などで賄うので資金繰りを圧迫する要素になる。

在庫が多すぎると中には型落ちとか人気がないとかの理由で売れない商品が混じることもある。これを不良在庫というが、これは在庫として資産に計上しているが、実質その額だけ損失が発生していると見るべきである。

こういった商品は原価で売るなどの手段を講じてできるだけ少なくしなければならない。またそのような商品を専門的の扱う会社は業界には必ずある筈で、そんな会社の何社かと取引をすることが必要だ。

在庫を保有するには倉庫を持たなければならないが、前述のように自社で持たず倉庫会社の倉庫を借りるのが良いだろう。

出荷間違い、計算間違いで実際の在庫の数量と計算上の数量が違いというのはしばしば発生することだ。従って実際にある在庫は定期的に検数しなければならない。

このように在庫を持つということはメリットも大きいが、種々の点で負担も大きい。だから在庫を持っている会社は持っていない会社より上位に位置するのだ。

前払金、前渡金

この二つの勘定科目には大きい違いがない。どちらの語句を使用しても構わないだろう。

商品を仕入れる時、前払金を要求されることがある。仕入先の会社は仕入先が海外などの時は特にそうだ。これは仕入先がこちらの信用状況を把握していないか、信用状況が悪いと考えているからだ。

商品を出荷する会社は出荷すると同時に売掛金回収という債権を持つ。逆に前払いをした会社は商品の出荷を要求する債権を持つ。それぞれ相手方が債権を履行してくれなければそれは不良債権となり、損害が発生する。

だがそれは考え方次第で、会社の方針の問題に帰結する。商品を販売する会社は常に売掛金回収の債権を持つ。会社の運営にはリスクがつきものだ。

会社の方針として始めて取引をする会社の信用状態は分からないのが当然で、それをどのように解決するかは調査の仕方、市場での会社の力の差などで決定される。

一回目だけは前払いして欲しいと要求しても2回目からの支払い状況は確認のしようがない。最初は少額の仕入をして2回目からは通常の額の取引に移行することだってやるかも知れない。

相手の信用状態など細部に亘って分かるものではないし、それを管理する能力も出荷側にはないだろう。前払いを何度か要求しても何の効果もない。だから前払いを要求するのは会社の考え方でしかない。そんな会社とはできるだけ付き合いしない方が良い。

商品を輸入する場合は前払いを要求されるケースが多い。その要求に最初は応じていたが、どういう訳かトラブルが頻出する。それで前払いは一切しないことにした。だがほとんど全ての会社が前払いを要求することはなかった。