輸入貿易会社、社長の仕事術

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大きな貸付金が、トヨタになぜあるのか

財産、すなわち、経理の言葉で言うと資産が増加する行動を起こすと最終的には現金または預金が減少するので、資金繰りはその分悪化する。当然だか例えば車(資産)を購入すると現金が減るのは当たり前の話しだ。

それに対して負債が増加すると資金繰りには良い影響を起こす。

そう言う意味で資金を捻出するには負債を増やせば良い。しかしながらこの負債は減少させる必要が出て来る。従って資金繰りに寄与する機関は短い

とは言っても負債は会社を運営している限り絶えず発生するので、必ず残高が存在している。その残高の分だけ資金繰りに寄与するということだ。

例えば現金で商品を仕入れれば負債は増加しない。即ち資金繰りには貢献しない。だが商品を掛けで買うと買掛金という負債が発生する。そこに資金繰りが良くなる原因があるのだ。

手形で仕入れればもっと負債が滞留する期間が長くなる。手形も負債だ。いずれそれを現金化しなければならないが、その手形の残高が存在する限り、資金繰りに貢献する。

  だが負債は約束通り処理しないと会社の信用がなくなる。手形を二日連続現金化しないと(不渡り)会社は実質倒産する。だからこの方法での資金の調達はリスクがつきものだ。

資本金は負債である。資本金が増加する時、現金が会社に流入する。従って負債ではあるが、これは長期に亘って会社に滞留するから資金繰りに寄与すること大だ。

資金を会社に導入するにはこの負債の増大が欠かせない。方法として会社の資金繰りが安定するのは良い方から資本金、借入金、他の負債の増加だ。借入金は短期より長期の方が良い。銀行は会社に信用があれば長期貸付をする。すなわち会社から見れば長期借入金が増加するのだ。

会社の信用度合はこのように負債の種類で見ることができる。負債の期間が長ければ長い方いほど会社は安定しているというものだ。

負債はある一つの権利と考えて良い。

負債を増加させる権利はしかし義務を発生させる。資本金(負債)を出してくれた人(株主)には配当をしなければならない。

最近の優秀な上場企業の株主は世界の巨大金融資本が多い。だから会社が利益を出せば、その資本家が金を手にするわけだ。韓国の巨大企業のサムスンの株の大きな部分を海外の金融資本家が占めているので、利益金は海外に流失して大きな話題になっている。

このように負債には義務が付きまとう。だから経理的に資本金が一番安定的な資金調達方法であっても、経営的な観点に立つと必ずしも会社にとっては良いこととは言い切れない。

義務を果たすための資金が潤沢にあれば買掛金を増大させるのが一番だ。これに対する義務はその買掛金を減少させる即ち一定期間後に支払うということでしかない。単純で経営が見通せるメリットが大きい。

逆に資産の増加にはどのようなメリットが会社に発生するのかと言う疑問が湧いてくる。それは簡単だ。例えば貸付金は資産であるが、金を貸し付けると金利が発生するだろう。

機械を購入するとその機械を使って物を生産し、最終的には利益に繋がる。だから資産の増加は資金の減少には繋がるが、利益が増加すると考えれば良い。

会社はだから最初に資産を増やすのだ。効率的に増やせば、比較的少ない資金で利益が大きいということがあり得る。会社とは資産を増加させ利益を上げると同時に負債を増加させて資金繰りの役に立たせると解釈することができる。

トヨタには大きな貸付金がある。

この会社の資金は手形の発行、または増資、あるいは貯めた金(余剰金)で賄っているが、そうして導入した資金を貸し付けて利子(利益)を稼いでいるのだ。

日本では車は飽和している。だから売上の中身は買い替え需要によるものである。それは大きな売上の増加には繋がらない。もう車の販売では大きい利益は得られないのだ。

車を販売する時ローンで買う。その時利子を払わなくてはならない。トヨタではこの利子収入が利益の元になっていると言っても過言ではない。