輸入貿易会社、社長の仕事術

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零細企業の資産の捉え方

資産が増加するということはそれを取得するのに、別の資産が減少するか、負債が増加する。しかし特許などそれを取得するのに資産の減少や負債の増加を伴わないものもある。そうするとこの資産が増加すると利益が増加する。利益の増加は会社に取って好ましいことだが、税を支払わなくてはならない。税に関することは後述するが、このような資産はできるだけ税務申告しないようにしなければ余計な税が発生する。

会社の本当の姿を示すにはこのような有形無形の資産は試算表上だけに表示しておくのが良いだろう。こうしておけば会社の実態が把握できるし、節税にもなる。

形のある資産でも税法上、資産に計上しなくても良い金額の上限があるので、これを活用する。それをしないと会社は資産が実質より多くなるので、利益の水増し、すなわち粉飾決算として良いことではない。

従って税法に適合する状態あるいは金額であるなら、資産はできるだけ計上しないことだ。例えばコンピューターを1台購入すると10万円未満は資産として計上しなくても良い。ただ2台一度に購入すると同種類の資産として10万円を超えてしまうから、税法上資産として計上しなくてはならない。税のことに関しては後述する。

資産で使っているうちにその実質価格が減少するものがある。前項のコンピューターなどは3年くらいで使えなくなるほど老朽化するので、その価値がなくなった部分について資産が実質上減少する。この部分については資産の額を減少させる。これを減価償却と言う。

さて社員が一人増えたとしよう。そんな時は椅子や机などの設備が必要だ。この時その新しく社員になる人のために会社は新品を購入すべきだろうか。

もちろん新品は中古品より価格が高い。そうであれば購入資金は増加し利益は減少する。会社は利益を出すために運営しているのだから利益は多い方がいい。

机などは中古品で充分ではないだろうか。これは理論だけの話しかどうか、その会社の考え方によるが、机は一回でも使えば中古になり、もしこの社員がすぐに退職して机を売る時には中古品価値しかない。

しかし中古品は探すのに時間が掛る。時間は賃金を発生させるので、大きな会社ではそんなことはしないが、余っている机が社内にあればそれを使うだろう。そうすると新入社員はそれを使うことになる。結局中古品だ。

このことは家屋を例に取れば良く分かる。

まだ充分使える家屋が建っている土地を居住目的で購入するとする。中古の建物は日本では価値が極端に低い。使えるならリフォームして使う人も多いだろう。ただ建物はその人によって必要なスペースが違うので、自分で自分の生活習慣などに合わせて新築するケースも多い。だが机は机としての固定的な使用法がある。敢えて新品を購入する必要が認められないのではないか。

そうして新品を買わずに余った金額を社員に還元してあげるとそちらの方が会社に取ってよっぽど有意義な金の使い方だとも言える。利益が大きい大会社では3年に一度くらいコンピューターを買い替えたりするものだが、だんだん利益が少なくなるとこんなことも再考される。

これら資産には資産税が掛かる。正式には償却資産税と言って、税務署ではなく、市町村に税を納めなくてはならない。しかし小規模事業所には各都道府県で各種特典があるので、これを利用する。

小規模事業者は製造業では従業員が20人、商業、サービス業では5人以下と定義されていて、現在は各種特典があるので、良く研究すべきである。

なお資産でもこの償却資産税が賦課されるアイテムとそれから除外されているアイテムがある。償却資産税については市町村に申告義務があるのだが、あまり履行されていないようだ。

いずれにしても資産はできるだけ少ない方が良い。だが使用に耐えられないような機械や器具を買うとそれも意味がない。そこをどうするかは責任者の考えに基づく。ただ考える方向としては無駄な什器備品、機械などはできるだけ購入しないのが望ましい。

ただこの辺りの税の施行に付いては複雑すぎて社長や経理の責任者では記憶するには時間が掛り過ぎる。そんな時間があれば他の仕事に時間を回せるので、専門家に任せる会社が多い。