輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

経理総括

経理本来の仕事は次の通りである。

1. 振替伝票から試算表、決算書の作成
2. 税務申告
3. 補助簿への記帳
4. 仮払いの出納
5. 現金(手許金)の管理
6. 税理士、社会保険労務士との打ち合わせ
7. 税務調査への対応
8. 仮払い未精算の営業マンなどへの処理督促
9. 金融機関との行き来
10. 切手、収入印紙、事務用品在庫の管理
11. 負債の支払い
12. 給与の支払い
13. 保険の管理
14. 残業時間の管理
15. 住民税、源泉所得税、社会保険料の納付
16. 資金繰り表の作成
17. 年末調整
18. その他

など多種多様である。仕事の性質上、決められた業務をできるだけ早く、そして正確に処理しなければならない。

現在はほとんどのケース、コンピューターを使用して処理するだろうが、そこでもミス入力があってはならないし、スピードも要求される。

なお種々の作業は会社運営の参考資料に供せられることが多いので、その目標に沿った形式を策定するのが良い。税務処理という目的もあるが、これは二次的な目標である。会社が利益を上げなければ社会に貢献できない。そのための資料を作成するのだ。

経理マンが対応する主な会社あるいは個人は税理士、社会保険労務士、会社の経営者である。

経営者

経理マンがやることの最重要目的は会社の経営の補助である。単に資料を作成するだけでなく、経営や現状の問題点を明確に数字的に把握し、それを資料と共に説明できなければならない。

それには重要な数字の把握、分析、統合などを行い、会社の利点、欠点を論理的に示す。税務は単なる国への義務を果たすための仕事であって、会社が利益を得た結果として行うということを忘れてはならない。

税理士

外部委託の専門家と対応するにはこちら(依頼者側)も充分な知識を持たなければならない。丸投げは良くない。

注意する点、問題点がある場合、あるいは勘定科目が新規に発生する時にはできるだけ研究し、その処理を熟知するように勉強することだ。

このように事あるごとに勉強、研究することが重要で、それが積み重なると優秀な経理マンに成長するだろう。

税理士など外部委託の職は契約の内容にあることだけを履行するのは当たり前だが、質問をするとそれに答えてくれるのが本来の姿だ。税理士は税務顧問であるからそのような義務を負うが、質問をしないと自ら進んで会社のためには処理をしない。

従って経理マンは質問する技術を磨かなければならない。質問することは答えることより相当高度な技術を要する。

当たり前だが税理士も10人に1人くらいしか優秀な人がいない。優秀な人は報酬を受け取る側、すなわち会社側に立って者を考え、絶えず勉強する。

税理士には二つのタイプがあって、一つは税務署側の観点からものを考える人だ。国家は会社からできるだけ税金を取ろうとする考えを持っているので、それに会社が併せてしまうと節税ができない。私も何度も不当な処理を税務署から要求されたが、それに対抗してくれた税理士は一人しかいなかった。

そんな税理士の仕事に対する姿勢は怠惰あるいは強い物にはまかれろとの考えを持っている。そんな税理士は経営者と相談してすぐに取引を停止すべきだ。

ただ問題は過去のデータをすべてその税理士の手許にあるということで、会社もデータをしっかりと保存しておかなければならない。

またどんな優秀な税理士でも法律との関係をしっかりと把握できてはいない。法律の基本的な趣旨と税務との関係については不足なことが多い。

例えば税務調査は税の支払いが過不足なく行われているかどうかの調査であるが、過不足とは支払い過ぎも含まれる。そうであれば調査の半分の時間は会社の払い過ぎの調査をすべきで、そんな趣旨のことは税務官も税理士もなおざりにする。

あってはならないことだが、税務調査官はノルマを課され、その調査でできるだけさらに税を加算徴収する目的で調査にくる。もちろん国も税収がなければ運営していけないので、税金を受け取るのは当たり前だが、行き過ぎが多すぎるし、二重課税も多い。

税務調査官はノルマを果たすため騙す目的を持って質問や数字の訂正(税金が多くなるように)を要求することが常習になっている。だがそ会社はそれに騙されてはならない。そんな時は告訴も辞さないくらい強い態度で臨みたい。ただ脱税の目的がある会社はそんなことをできない。ここでも正直に申告して権利と義務の両面から物事を遂行するべきだ。

だから税務官の要求が不当だと考えれば必ず書面で提出してもらうようにして、それを証拠にすべきだ。出来の悪い税務調査官は拒むだろうが、それはできない。会社は税務調査に協力しているのであるから義務は履行している。それに対するこのような権利を要求しているのであるから、義務を履行しない税務官は交代を要求しよう。

なお税理士も忙しい。質問は要領よく手短に済ませなければならない。相手のことも慮る姿勢を持つことがここでも要求される。