補助簿
試算表、決算書は合計あるいは残高、差額などトータルな数字を示すだけだ。従って、例えば顧客別の売掛金の残高、発生、受取などは表示されない。それでは個々の顧客の管理ができない。
そこで合計金額の個別明細を示す補助簿という帳簿を作って、これを管理するのだ。帳簿は今、紙ベースではなく、コンピューターに入力されたデータとして保存されることが多い。
売掛金台帳
顧客別の台帳である。売掛が発生し顧客が支払うまでⅠヶ月以上の期間があると、2回あるいは場合によってはそれ以上の回数の売掛金が残高として表示される。
契約でそのようになっていることもあるが、通常は稀だし、出来るだけ短期間に回収したい。一ヶ月以上経ってから支払いをする会社は資金繰りが困難なのか、それとも支払いをする資金が不足しているのか、あるいは仕入先のことを考えない会社方針なのか、あまり良好な会社とは言い難い。
契約が1ヶ月以内の支払いであるに関わらず、支払いをしないで2ヶ月分の売掛金が残高として滞留する場合、この顧客は要注意である。
仮払金台帳
複数の社員や代理店などに旅費などを仮払いする時は個々に出納の管理を行わなければならない。一般的に仮払い期間は短いから仮払いという名目が付くわけだから、短い期間で清算しない社員は怠惰で余り誠実な人柄の持ち主ではない可能性が高い。
預金台帳
普通預金、当座、積立、定期、納税準備、外貨などの種類があるが、これらは目的が違うし、出納の頻度も違う。従って個々にそして金融機関別に管理しなければならない。
当座預金は小切手を発行してそれを利用して出納する。小切手にも不渡りがあるが、これは手形と違って、不渡り発生が直ちに会社の破綻には繋がらない。しかし発給した相手先や銀行の信用を無くすことになるので、過誤による不渡りが発生しないように、充分な注意が必要である。
最近は小切手の発行や管理に手間が掛かるので、当座預金の口数は減少している。銀行もこの口座の解説には稟議をして依頼すれば必ず開設するとは限らない。
定期預金は担保として利用できる。銀行から融資を受ける時に会社の状態や社長の能力、人柄の信用がまだ低くても、定期預金を担保にすれば信用が比較的低くても、融資が簡単に受けられる。
意味のない行為のように思われるが支払う金利率も低く、実績として評価されるので、融資を受ける手段としては推薦できる。銀行側もそのように解釈する。
未収入金
これも相手別に管理をしなければならない。科目の性質上長期に亘って残高が滞留しているのは何か問題が発生しているのだ。
在庫表
とても大切な補助簿である。商品が在庫としてあると営業がし易いし、会社の信用度も上がる。しかし在庫を持つためには資金が要るので、必要以上の在庫を持たないよう管理しなければならない。
一種類の商品の在庫額が年度によって変化しないのはその商品が不良、すなわち売れない商品ということである。すなわち、この商品の額は損金と同じように計算しなければならない。
そうなる前に安値であっても商品は売る努力をすべきだ。物販を業とする会社ではこの商品の管理が会社の命運を左右するほど重要だ。定期的に実地棚卸をし、その際不良性がある商品がないかどうか、チェックしなければならない
その他流動資産
当然前渡金やその他の流動資産で個別に管理しなければならない科目については補助簿を用意すべきである。
不動産
これも個別にリストアップする必要がある。会社が順調に運営されると不動産をどうしても持つことになり。複数の不動産は一覧表にして管理しないと記憶に頼ることになってしまう。
その他固定資産
ほとんどが個別に補助簿を作成しなければならないだろう。例えば上場企業の株式を投資目的で持っている場合などは頻繁に出入りがあるだろうから、管理は厳重にしなければならない。
買掛金
毎月発生し、支払いによって減少する勘定科目である。当然相手別に管理をする。
その他の負債
流動負債か固定負債かに関わらず、個別管理をする勘定科目である。資産科目では適正な減少がなくてもそれは相手方の信用に関わる問題であるから、会社としては資金繰りがその分不足するだけでストレートの信用が減少するわけではない。
だがそんな信用不安を抱えている会社の多くと、あるいは多額の未決済営業債権があると間接的に信用が失われる元となる。そのような売先とは関係を断つことが望ましい。
しかしこちらが債務を負う負債に関しては決済が滞るとたちまち信用がなくなる。資金繰りを見ながら、必ず約定通りに決済すべきだ。
紙ベースでデータを保管するとこれ補助簿が一番場所を取る。それを避けるためにコンピューターの中にデータとして保存するのが最近のやり方である。
しかしコンピューターは見難いという欠点があるので、毎日ほど残高などの確認を行うのが良いだろう。
現金
日々の小さな支払いに対処するため、経理の手許に置いておく手許金は毎日残高を数えなければならない。盗難に対する損害を防ぐため、保険を掛けることもある。現金についての補助簿はない。
賃金台帳
賃金台帳は社会保険労務士との打ち合わせで、労務士側で作成してくれるケースが多い。それが一つの台帳として管理、運営する。