輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

未来伝票

買掛金を手形で支払ったとしよう。手形の期日が90日であれば90日後にはその手形を落とさなければならない。手形の用紙は取引している銀行にもらい、落とすのはその銀行の口座残高から自動的に引き落される。もし残高が手形金額より少ないと手形は落ちず、不渡り処理されてしまう。

そんなことを避けるため、この未来伝票は威力を発する。12月31日が満期日の手形を発行すると時には残高が不足することがあり(他行より振り変えるのを忘れるケースも聞いたことがある)要注意だ。こんなことは未来伝票による処理で防げる。

手形を発行すると必ず落とす。そうであればそのことを見越して、この未来の振替伝票を手形発行時に起票しておくのだ。即ち期日が来た時に手形(負債)が減少して預金(資産)も減少するからその処理を前以てやっておくという訳だ。

振替伝票の起票を手書きでやる場合は特に時間の短縮になる。同一の相手先、金額を二枚の振替伝票に書くだけだから、簡単だ。伝票は日付ごとに整理しておき、毎日仕事を始める前に見ればその日やらなければならない仕事も分かるしとても便利だ。

顧客に請求書を送った場合、あるいは仕入先から請求書を受け取った時、資産負債が一定の期間後また変化する場合はこの制度を取っておく。但しやるなら全ての項目について行わないと、どの項目をやり、どれをやっていないか分からなくなって、やる意味がなくなる。

経理という仕事に必須な事項は処理を確実に間違いなく、抜けることなくやるということだ。それを疎かにして、今日やらなければならない仕事を明日に伸ばすのは最も慎むべきことだ。

誰かと待ち合わせの約束をする。会う場所、日、時間、持っていくものなど相手と打合せをして前以て分かっている。こんな時は予定表を書くだろう。

この未来伝票は経理処理の予定表だと考えて良い。人が物事を忘れるのは避けて通れない。忘れないようにするにはこの未来伝票を発行し、その上で更にその日の予定表を作っておけば忘れる確率が0近くになる。

私には苦い経験がある。女性の経理担当者が何葉かの支払手形を付け忘れた。合計300万円くらいだったと思うが、まだ会社が脆弱な頃で、その300万円は死ぬような苦労をして調達したのを思い出す。

補助簿

売掛金や買掛金など振替伝票を起票しただけでは相手先はどこであるか、個別の金額、金額などいちいち伝票を捲るのは面倒だし、抜けることもある。そんなことに備えて補助簿という帳簿を付けておく。

売掛金は集金しなければならない。今はほとんどが銀行からの振込みで対応しているが、相手先を帳簿に付けておかないとどの顧客からが未収であるか伝票を捲らないとすぐには分からない。

あいうえお順に顧客のページを作っておいて、そこに売掛の発生日と集金額、残高を記入するのが良いだろう。中には請求書が発行されてから支払いが一ヶ月以上という契約もあるので、次の請求書の発行高が金額としてダブる。

こんな場合は支払い受領後の残高が後で発行した請求書の金額になる筈だ。そこで相手の支払い額が正しいかどうか確認できる。このようにして相手別の処理金額が判明し、処理できる利点がある。

補助簿を付けた方が良い勘定科目は

売掛金
仮払金
前払金
未収入金
買掛金
借入金
未払金
給与

などがあるが、会社によってはもう少し詳しいデータが欲しい場合もある。その時はそれを追加しても良い。例えば営業マン別の経費、売上高などであろうが、あまりデータの数が多いとその分作業時間が必要になるので、ある程度最低限に絞ることもありえる。

ただこれらのデータの処理をコンピューターでプログラムを組んで処理するとそれほどの手数にはならない。これは後述する。