輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

会社とあなたは共同運命体

さて資本金を払い込みいよいよ会社を創業する手筈は整った。個人事業として運営する方法もあるが、今後会社を大きくする計画があるなら、やはり株式会社などの会社組織にする方が社会での評価も高いだろう。

 

会社の種類は4つある。株式会社、合資会社、合名会社、合同会社などであり、それぞれ特徴があるが、株式会社が一般的であるので、これを基準に話しを進める。

株式会社では出資した人の責任は出資金だけで、連帯責任を何かの形で取らない限り、会社の負債などは出資者には掛ってこない。会社が倒産すると損をするのは出資金のみである。

 

ただ社長になる代表取締役は、出資金のみの負債ではすまない。

会社が銀行から融資を受けると今は必ず連帯保証人になることを要求される。そうすると融資額が返済できない場合は、連帯保証人たる代表取締役が責任を取らなければならない。

保証人と連帯保証人の違いは、保証人では主たる債務者即ち会社が払えない時だけ、自分が責任を負うのだが、連帯保証人では債権者(融資をした銀行など債権を持っている相手方)は会社に支払える能力があるかないかに関係なくどちらからでも任意に債務の支払いを要求することができるということだ。

そういうことで、社長になった貴方は会社と運命を共にするわけだ。会社が倒産をすると商品を仕入れた相手先からも攻め立てられる。債務(支払い義務)に対して保証をしてなくても、責任があるのは会社で自分は関係がないとは言えない。何故なら貴方が会社の代表だから貴方と交渉するのは正当であるからだ。

会社の債務は大きい。万一のことがあっても貴方の個人資産では支払い切れない。だから代表取締役に連帯保証をさせるのは過酷であるとして、それを許さない法整備を政府は考えているが、いつになるかは分からない。

現に大会社に対して融資をする銀行は代表取締役に融資金に対して連帯保証を要求しない。そんな要求をするとその会社は金を借りてくれないからだ。

即ち会社に置いては平等という観念は存在しない。ビジネスの世界は弱肉強食だ。パワーのある会社の要求はほぼ全て通る。トヨタは多分下請けに相当過酷な要求をしているだろうが、政府もそれに大きな文句を言えない。それがビジネスの社会だ。

 小さい会社においては社長が全てであり、民主主義的な感覚を社員が求めることができない。それが嫌なら社員も自身の会社を持てば良いのだ。

とにかく会社に関する出来事は全て社長に掛ってくる。逆に言えば会社が儲かれば社長はいくら報酬を得ても良いのだ。もちろん大きな株主がいれば、自分の自由は制限される。

 

だから大きな発言権を持つほどの出資者は持たない方が良いだろう。

「創業」の項でも書いたがどうせ互いに頼りにするなら全面的に頼りにする人と組めば良い。中途半端な金額を出資してもらって、中途半端な口出しをされても迷惑なだけだ。

出資金が全額振り込まれたら振り込んだ銀行に預かり証を発行してもらい、会社の設立登記をする。もちろん自分自身でやることもできるが、普通は司法書士や会計士に頼む。この場合は10万円程度の手数料を要求される。もちろんもっと安い所もあるが、安い分こちらがやらなければならないことが多くなるか、サービスが悪い。これは仕方がない。ビジネスの世界は金が全てである。

まだ会社もできていないので、時間はあるはずだ。自分で登記をするのをお勧めする。そうすると会社という組織が社会でどのような立場にいるのかが分かるだろう。会社の構成や書類の作り方、その他なるほどと納得でき、覚えることが多い。

さらに法人を設立するに際して登録免許税が掛る。国は何かにつけて金を取ろうとするのだ。自分で登記業務をやれば国が如何に個人や会社から税という名目で収奪するのかが分るだろう。

ところで人と名の付く存在は二つある。一つは我々生きている人で法律的には自然人という。もう一つは法律的に設立された法人だ。だからあなたはこの法人という人を生み出そうとしているのだ。

だが法人は観念的な存在で自分では何もできない。結局自然人たる人が法人と関わり、実際の業務は人がやることになる。