輸入貿易会社、社長の仕事術

経営46年の経験・知恵が詰まった集大成ブログ

経理

負債にも資産と同じく流動負債と固定負債がある。負債の増加は借方(左側)に、減少は逆に貸方(右側)に記載する。借方と貸方の覚え方は、借りると資金が増加する、貸すと減少すると覚えると良いだろう。

流動負債は会社の資金繰りの仕事量を増加させ、ある意味会社が安定的ではないと判断されるが、固定負債ではその逆だ。

流動負債

買掛金

買掛金は資金を別途調達をすることなく、会社の資金繰りに貢献する。買掛金が売掛金より多いとそれだけで資金が調達されたのと同じ効果を果たす。しかしだからといって買掛金が多ければ多いほど良いというわけではない。

仕入先から見ると取引条件が悪いので、販売を断られる場合が多いし、大きな会社で仕入先からの買掛金の期間が長すぎると仕入先に過度の負担を掛けていると業務命令が発令されて短くさせられることも発生する。

だがやはり買掛金の期間が長いと資金は自動的に調達されたことになり、適度の買掛金の長さは好ましい状況と見ることができる。

買掛金にしろ、売掛金にしろ、掛金とは商品の売買の場面で、商品と引き換えに現金を支払わないことから始まった。月間に何度も集金すると面倒でもあり、手数が掛かる。それを防止したいのがこの掛金の趣旨である。

昔の酒屋さんのように、例えば月間20回の売買があったとしよう。毎回現金をもらうと面倒なので、月毎に集計して集金した。それが掛金の起源だ。

買掛金は発生してから短期間で消滅される。相手科目は現金や預金である。従って現金の減少に近い負債である。決算書、試算表(これらの書類を含めて財務諸表と呼ぶこともある)に置いては一番上に表示される科目である。 

短期借入金

短期借入金とは1年以下の期間で借入する金員の科目である。この科目の金額が多いと会社は安定的とは言い難い。短期に借入金が消滅するからで、また消滅(返済)しなければ金融機関は取引を停止することになる。

短期借入金の返済は通常毎月ほど返済時期がやってくるので、財務担当者は資金繰りを観察しながら、新たな借入をする。但しバブル期には銀行に頼まれて、必要もない短期借入を実行した会社も多いだろう。

試算表、決算書の全体を見て計算すると会社の資金繰りの状態が把握できる。財務担当者や社長はそれを見て適度に額を調整しなければならない。

金融機関から借入をする際に担保の提供を要求されることが多いい。不動産だったり、中には定期預金であるが、会社に信用があると、無担保の借入も可能である。

また売掛金を担保にした融資や売掛金の集金額に対しての割合を融資する手法も金融機関は取ることもある。しかし売掛金を担保にする融資を受けると売掛先に通告しなければならず、会社の信用を落とすことになるので、なるべくはやりたくない。

売掛金の集金額の何割かを見極めて融資をするというのは一緒の無担保融資である。だがかなりの信用力のある会社でなければ金融機関はそんな融資をしない。

政府の中小企業支援策として、信用保証協会が借入金の返済に対して保証してくれる制度がある。現在は融資額の80%の保証をしてくれるが、昔は100%であった、

ところが保証料が保証金額を下回ってしまって、すなわち赤字になって90になり80%になり、リーマンショック後100%に戻り、また80%になった。

保証料もかなり前はとても低かったのだが、保証業務が赤字になって、現在は会社ごとに保証料率が違う。この保証料を利息と見ると保証協会付きの融資では支払い利息が高くなり過ぎ、会社としてはあまり得策と言えない状態になってしまった。

なお金融機関以外からの借り入れは止めた方が良い。そんな借入金があると金融機関は不良会社と認め、融資をしてくれなくなるだろう。それに金融機関以外からの借り入れは極めて高い金利を支払わなければならないので、そんな借り入れを続行していると会社は早晩破綻してしまう。

会社が破綻しても人は生きて行かなくてはならない。そんな借入は破綻後の社長の一般生活をも破壊してしまう。そんな借入をするなら、あっさりと会社を閉鎖した方がましだ。

しかし人は弱いもの。会社の破綻はできる限り防ぎたい。そしてこのような融資を受けてしまうのだ。ただ大手のしっかりした会社からの融資を受けるのはまだ許せる。

すなわち金利率がどの程度かという問題で、十分な審査をして融資をしてくれるところであれば金率も低く、融資を受けても差支えがない場合も多いだろう。

しかし金融機関の見方は違う。融資をして金利を稼ぐのが金融機関の主とした業務で、この業務は不変である。しかしサイドビジネスとして金利を稼ぐ業務をしている会社はいつ融資制度を廃止するか知れたものではない。その時にはもうその会社からの融資は受けられない。こんな融資は不安定なのだ。

知人、親戚など個人からの借入も感心しない。本当に緊急ですぐに返済の目途が立っているなら良いが、甘えが出て返済が滞ることがある。その前に金融機関から何とか融資を得られるように精一杯の努力をすべきである。

社長からの借り入れは別だ。金融機関は社長の個人資産と会社の資産は同価値があると見ているから、社長からの借り入れは会社の隠れた体力とも見ることができる。